読みもの


過去の日記からの抜粋です。

マイ・ロード

マイ・ロード
朝から気分が良かった。
カキ〜ンと照りつけるお日様、容赦なく降り注ぐ紫外線、
私はカーステレオのボリュームを最大にした。
流れてくるのは懐かしい「ポリス」のナンバー。

愛車のポルシェのナビシートには、シェパードの「ジョン」。
海岸で遊びたいらしく、波打ち際にうらめしげな視線を送る。

さっきからちょろちょろしてるアルファロメオの兄ちゃんはあたしをナンパする気かしら?
100年早いんだよ。
アクセルを軽く踏み込むと、後ろにはあっという間に米粒位に小さくなって行く奴のクルマ。





ふと気が付くと大きな看板が目に飛び込んで来る...















通勤でかっ飛してるこの広域農道は、通称「コメ・マイロード」
その名の通り稲作地帯。
3キロ先の信号だって見える。すごいだろ。( ̄^ ̄)


はぁ・・・また現実に戻ってしまった。
まあいっか。この農道はいつでも「俺様の道路」だから・・・。


ガードレール


この経験を思い出すたびに、今でも股間胸がきゅ〜んと痛くなる。


私は小学校2年生だった。
チビデブだった私は、当然運動神経も鈍かった。
こんな私の親友は背が高くて美人でお金持ちの恵理ちゃん。

恵理ちゃんとは登校も下校も、いつも一緒。
いつもの通学路は、学校では禁止されている交通量の多い狭い道路だった。
その日は雨上がりの増水した川が見たくて、歩道とは反対側の川沿いを歩いていた。
雨上がりの道路に、沢山の大型車が泥水を容赦なく跳ね上げながら行き交う。
さすがに運動靴もびちょびちょになった頃、恵理ちゃんが「歩道に戻ろうか?」
言い出した。



車の流れをぬって反対側に渡ると、
そこにはガードレール

しかもしばらくは「継ぎ目」がない。
そう、またがないと歩道に入れない






先にガードレールをひょいっとまたいで歩道に入ったのは、足長の恵理ちゃん。
私も恵理ちゃんに続こうと、ガードレールをまたごうとするが・・・
一旦、鉄板の上に足を乗せないとまたげそうにもない。
仕方なく片足をガードレールの上に・・・
その瞬間、運動靴の底がつるっと滑り、幅数ミリの鉄板に馬乗りになる。
濡れた靴底と金属との動摩擦係数は小さ過ぎた。
もちろん足なんて届いていない。
全体重を、とある体の一部分で支えていた。

「ぅぐっ・・・」

声にならない「呻き」を上げた。
一瞬、激痛で息なんか出来なかった。

しかし負けず嫌いだった私は、腕力で何とか歩道の内側にに入る。
しかも笑顔「滑っちゃったぁ〜♪」なんて言ったような気がする。
多少前屈みになりながらも、全身全霊の力を振り絞って「早く行こ!」と
恵理ちゃんをせかし、学校へ急いだ。


その日の1時間目の授業中、半分腰を浮かせながらおとなしく座っていた。
痛みはおさまらない・・・しかも下着が湿っぽい!
休み時間を待って、トイレに行く。
下着は赤く染まっていた。もうパニック。

「ケガしたんだ、あたし・・・。」

慌てて保健室に駆け込む。
先生に「パ、パンツに、いっ、いっぱい、血、血がぁ〜」
やっとの事でそこまで説明すると、あとは泣くしかなかった。

先生は保健室の傍らの、薬の棚の隅の方から、まっ白い新しいパンツ
何か「ふわふわした四角いもの」を私の手に握らせてくれた。



「ゆうこちゃん、おめでとう」



優しい表情で私の目を見て言ってくれた、先生のその一言が何を意味していたのか、
小学2年生の私にはわかるはずがなかった。

とりあえず、湿った下着を新しいものに履き替える。




それにしてもこの「ふわふわ」は何だろう?




トイレから帰ると、保健室には担任の先生がいた。

「ゆうこちゃん、おうちには電話しておいたから、今日はもう帰りなさい。
一人で大丈夫よね?」



給食の時間を待たずに帰るなんて、私にとっては拷問に近かった。
いつもの私は「おかわり大将」
だれよりも先に「おかわり」に向かう事に生き甲斐を感じていた。

が、その日は違った。
早くうちに帰って、布団に潜り込みたかった。



     ●     ●     ●



家に帰るとおばあちゃんがお赤飯の準備をしていた



お赤飯は好きなんだけど、豆はいらないんだよなぁ・・・
しかもお赤飯の日って、おかずが手抜きだったりするしぃ・・・

いつもの私だったらそう思ったに違いない。




しかしその日は笑顔で「おめでとう」と言ったお母さんの顔も見ないで
布団に潜り込んだ。


夕方になって、私の異変にやっと気が付いたのはお母さんだった。
大食いの私がお昼も、おやつも食べないで寝ている、こりゃヘンだと
思ったらしい。

「病気じゃないのよ。だいじょうぶ。お赤飯出来てるわよ。食べましょ。」

何が「だいじょうぶ」なんだか良くわかんなかったけど、お母さんの優しい声を聞いたら
泣けてきた。


「お母さん・・・ガードレールが・・・痛かった・・・」


心の叫びを優しいお母さんに聞いてもらえてうれしかった。
その横では状況を把握出来ないお母さんがいた。


やっと痛みも落ち着いて来た頃、お母さんに事のなりゆきをすべて話す。





今朝ね、恵理ちゃんと学校に行く途中にね・・・


恵理ちゃんがガードレールをまたいだの・・・


私も真似してまたごうかと思って足をかけたらね・・・


つるっと滑ってね・・・


ガードレールでね・・・


切れちゃったの・・・




青くなったのはお母さんだった。

「ちょっと、パンツ脱いでみなさい!」





慌てて駆け込んだ近所の外科医の先生は、笑いながら絆創膏を貼ってくれた。



      ●     ●     ●




後日、この話を聞いた友人のあゆみちゃんは私に言った。

「縫われなくて良かったね。へんに縫われてたら人生変わってたよ。」





出産に立ち会ったご主人が産科の先生に言う。

「少し多めに縫っておいて下さい。」


これはよく聞く笑い話だが、あゆみちゃん、あなたの発言、同レベルよ。


  
 

禁断のぬくもり

ある晩、真夜中に何かの物音で目覚めました。
ふと時計を見ると、デジタル時計は「2:22」不吉なゾロ目をさしていました。
それにしても確か今、物音が・・・
耳をすますと、2階の私の部屋のベランダから、「ザッ・・・・・ザッ・・・・・」
冬の夜の闇の中、雨戸一枚隔てた戸外で「なにものか」が確かに動いていました。

私は閉所恐怖症。
どんなに寒くても、どんなに大雨でも、雨戸を閉め切る事はありません。
ほんの少〜しだけ開けておいて、万が一の為の逃げ場を確保していました。

しかし、この時ばかりはその隙間が、私を得体の知れない恐怖のどん底に突き落としました。


「ザッ」


ちょうど雨戸の隙間のあたりで物音がしたと思うと、また元の静寂に戻りました。

「なにものかが雨戸の隙間から中の様子をうかがっている・・・」

そう直感しました。
泥棒?ナイフを持った強盗?まさか・・・レイプ魔!?
心臓の鼓動は物音ひとつしない部屋の中で、自分の耳にまで届かんばかりに激しくなって来ました。

「やられる・・・」

生命の危機さえ感じました。
意味もなく寝たフリ、気が付かないフリをしながら布団の中で硬直していた時間は
一体どの位だったのか、今となっては見当も付きません。
1時間?2時間?いや、それ以上の長い時間に感じていた事は間違いがありません。

恐怖は限界に達していました。
このまま黙ってやられる?いや、どうせやられるんだったら何か行動を起こそう。
まさに、ハイジャックされた機内で団結し、闘おうとした勇者達の心境でした。

物音を立てないように、そ〜っとベットから抜け出すと、ほふく前進で部屋の出入り口まで進み、
ドアを開け廊下に出ました。隣の部屋で寝息を立てるのは5つ下の弟。


ここだけの話、弟の部屋は男臭い。
そう、思春期特有のフェロモン系の・・・
布団なんてフェロモン臭で近寄れませんでした。
いつもだったら。


決死の覚悟で部屋を抜け出した私の使命は、弟の部屋に入り込み、
外部に勘付かれないように「今、そこにある危機」を伝える事だと思いました。
何のためらいもなく弟のベッドに入り込んだ私は、無言で弟を突っついて起こしました。


この瞬間の弟の心理状態と言ったら・・・

「実の姉が・・・よ、夜這い!?」そう感じたかどうかは定かではありませんが
それは当時何かとネタにされた「高校教師」の、さらに上を行く禁断の世界に違いありません。
決して仲のいい兄弟ではありませんでした。
お互いの存在を尊敬するどころか、常に卑下し合っていました。
悲しきかなこの私、「お姉さん」と呼ばれた事は一度もありませんでした。
弟は物心ついた時にはすでに「ゆうこ!」そう呼び捨てにしやがりました。
尊敬に値する事など何一つしてなかったんだから当たり前といえば当たり前です。
でも5歳も年上なんです。偉いんです。
そんな私の兄弟喧嘩の時の殺し文句は「弟のくせに威張るな!」
ケンカをしている途中、ふと、「理不尽な事を言っているのは自分か?」
そんな風に思った事もありますが引っ込みなんて付きません。
そんな時に弟を撃沈させた最終兵器はこのひとことでした。

おっと、余談が長くなってしまいました・・・


布団に潜り込んだ私は弟の耳元で囁きました。

「静かにして聞いて・・・ベランダで物音がするの・・・ほら・・・」

耳を澄ますとまた「ザッ・・・・ザッ・・・・」

得体の知れない恐怖。

しんしんと冷える冬の丑三時、迫り来る危機、
ひとつのベッドの中で息を潜める姉と弟

まさに禁断の世界がそこに存在していました。

「ザッ・・・・ザッ・・・・・ザッ・・・・ザッ・・・・ザッ・・・・・ザッ・・・・」

物音は定期的にいつまでも続きました。

ふと、弟が一言。
「雪・・・降ってるんじゃねぇの?」




はっ( ̄O ̄;)





恐る恐る窓の外を覗くと、夜の闇に白い雪。
ベランダには10センチ以上の雪が積もっていました。
関東でこんなに雪が積もる事なんて、年に数回しかない事です。
時折、屋根から雪の固まりが落ちて来ていました。



「ザッ」。


 ●     ●     ●


何事もなかったように自分の部屋に帰ると、冷え切った布団が待っていました。

ひとり寝の寒さを教えてくれたのは、弟のベッドのぬくもりでした

DV


ドメスティック・バイオレンス(DV)

    「家庭内の暴力」 


なんとなくこんなサイトに辿り付き、読んでいたんですが・・・


妻から夫への「言葉での一撃」はDVになるのかどうか、
そんな疑問を持ったりして。

心当たりがあるのかって?ご想像にお任せします。(笑)


   ○   ○   ○


一般的に、夫は妻を見てません。
外に出て、常に刺激を受けているんだから、当然と言えば当然です。

反対に、妻は夫の言動を、こと細かに観察しています。
外に出て、常に刺激を受ける事には変わりありませんが、
頭の中は、いつも家庭の事でいっぱいです。一般的には。



夫婦げんか。



軽い口論やののしり合いだったら、翌朝にはお互いすっきり、
なんて事もあります。

 −ここに夫の暴力が介入するとDVになります。

 −ここに妻の言葉の一撃が入ったらどうでしょう?

夫の言動をこと細かに観察している妻の一撃は、夫を玉砕しかねません。
図星を突きます。
反論の余地のない理論を立てて攻撃します。逃げ道は残しません。

怖いんですよ。女って。



DV防止法の概要に目を通した限りでは、幸いな事に(!)
「言葉の一撃」はセーフみたいです。




女性のみなさま、

あなたの一言は男を打ちのめします。凶器です。


上手に使いましょう。




ぼちぼち増やす予定です。末永く見守ってちょ(´・∀・`)


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