トランを目指して・・・寝台列車16時間
〜〜〜 タイ南部は大洪水 〜〜〜
TVでは、ハジャイのすごい洪水のニュースが流れていました。 町が大河のようになって、なすすべもない住民の悲痛な叫びが報道されていました。 冠水した商店から、火事場泥棒的「略奪」も起こっていると。 目指すトランは、タイの最南端ハジャイより、少なくとも100キロは手前にあるビーチ。 「明日はきっと晴れる。トランは大丈夫だ。絶対!!」 このままバンコクにいて、500バーツの安宿で過ごすより、この先何が起こってるかわかんないけど、 600バーツの寝台車で移動した方がいいに決まってる。そう、往復で2泊分の宿代が浮いたと思えばいいや(・∀・) 自分の強運を信じて疑わないあたしは、迷わず夜行列車に乗りました。 予定では15時間後には目指すトランの町に到着です。 トラン・・・バンコクにお住まいの「駐妻」(駐在員の奥様)さんから「絶対おすすめ!」と言われ 何が何でも行きたいと思いました。まだ観光客も少ないマイナーなビーチ。手付かずの素朴な町。 どこも観光地化さてたタイの中でも、最後の楽園だと。行くなら今のうちだよって。 白砂のビーチ。コバルトブルーの海でお魚と戯れる自分の姿を夢見ながら、列車の心地いい揺れに いつのまにか爆睡。 ○ ○ ○ 目覚めると朝〜!!列車はスラー・ターニーの手前でした。パンガンやサムイに向かう人達はそろそろ下車です。 バックパックを背負った旅行者のほとんどはスラー・ターニーで降りて行きました。 列車はさらに南下。車窓から広がる景色をぼーっと眺めるあたしはエ・ト・ラ・ン・ゼ(*゚ー゚) なんにもない田舎の風景。水田や沼地が延々と続きます。水牛が水浴びしてます。車も道路も家も水浴び・・・ん!? つーかそこらじゅう冠水してるんですが〜!!! バンコクを出て16時間後、ThungSongとかいう知らない駅の手前で車掌さんが回って来ました。 「この先、洪水で列車の運転は打ち切りだよ。この先はバスを用意するから乗り換えてね。」 やっぱキタ〜!!足止めかよ・・・。 手元の大ざっぱな地図で見ると、トランまでは100キロ以上ありそうな感じ。 南部の集中豪雨は想以上に広範囲で、しかも深刻な状況のようでした。 バスなら行けるって言うけど、行ったところで町は水没してるんじゃないのぉ? ビーチは問題ないの?衛生状態はどうなの?だいたい、行ったところで帰れるの? 山ほどの疑問が一気に頭の中を駆け巡るものの、車掌さんに聞いても「よくわからない」 いや、よくわからなかったのはあたしのつたない英語でのQestionだったのかもしれませんが(´゚ω゚`) とりあえずThungSongの駅の窓口で乗車券の未乗車分の料金の払い戻しを受ける。 日本だったら、この先の代行輸送の交通機関の振り替え乗車票でももらえるところですが、タイ人が そんな気の利いた事をしてくれるはずもなく、遠く離れたバスターミナルまで自力で行けと。 バスは自分探せと。 もうこの時点で、先に進む気は完全に失せてました。もう帰るっヽ(`Д´)ノ なにげに寝台車に乗ってるだけでも幸せだし。宿代2泊分浮いたわけだし。 たまにはこんな無駄な時間もいいかもしれない・・・。 とりあえず、一番早く乗れるバンコク行きの寝台チケットを買いました。 出発まで5時間。町でも散策するとしますかね。 ThungSongの町。 そこそこ大きい町ではあるけど、観光する所なんてなんにもない。 商店が軒を連ねるメイン通りは小一時間で歩きつくしちゃいました。 つーか、リュック背負ったニッポン人が相当珍しかったのか、 なめるような視線を浴びまくりだったんですがぁ〜ヽ(`Д´)ノ 美味しそうな「ぶっかけごはん」屋台を見つけたので、 駅のベンチで食べようと、お弁当を調達しました。 駅のベンチでとりあえずビール。 もいっちょビール。 ん〜まだまだビール。 と、シンハを4〜5本転がしてると・・・おやじ2人組が声をかけて来ました。 「ごはん食べに行こうよ(・∀・)」 なんか制服っぽいいでたちのお二人、話を聞くと駅の従業員らしい。 「美味しい食堂に連れていってあげるよ。おごるから。」 「お、おごりっすかぁ〜!?」 はぃ、迷わず付いて行きましたヨ。お弁当は電車で食べればいいし。 案内してもらったのは、駅の目の前にある「東屋」みたいな食堂でした。 それぞれ好みのゴハンを頼むと、メガネのおじさんがビールの大瓶を3本持ってきてくれました。 あなたたち、勤務中のランチでは・・・?まぁいいか。アメージング・タイランド。 「そうめん」みたいな麺にタケノコカレーをかけたのが美味くって、 いんげんを炒めたのがめっちゃ辛くて、ビールが進む進む・・・ 気が付けば赤シャツの彼がどんどん追加ビールを調達して来てくれました。 ・・・そして年配の彼はすっかりキーマオ。あたしもキーマオw なぜか途中から「ヤクルトおばさん」も宴に参加、おばさんが売れ残りのミルクをお皿に空けると 近くのノラネコが来るわ来るわ・・・4人とノラネコ達と過ごした昼下がり、あっという間に電車の 時間になっちゃいました。 みんなと何を話してたかっていうと・・・お約束の「日本語教室」「タイ語教室」w どこに行っても「指差し会話帳」は大人気ですね〜(´∇`*) そうそう、トランやハジャイの状況を聞くと、今は行かない方がいいらしい。 帰るのが正解って言われました。 辛いもんが大好きなタイ人ですが、甘いもんも大好きなタイ人。 アイスキャンディーの「チリンチリン」の音が近付いて来ると、嬉しそうに駆け寄って行きました。 もちろんあたくしもいただきましたよ。これはあたしのゴチで。 駅に戻ると、すでにバンコク行きの列車が停車してました。 赤シャツの彼が「神様」の舞いで見送ってくれました。 年配の彼は・・・ベンチで爆睡。 午後の仕事だいじょぶだったのかなぁ? 彼等の親切に触れる事が出来なかったら、ほんとに無意味だったかもしれない、往復32時間の旅・・・。 あったかいね。だからタイはやめらんないんです。 |
2005.12